山陽鉄道の神戸−馬関間の開通が明治34年、明治39年には山陽鉄道が国有化され新橋−下関間の直通列車が新橋(22:30)-下関(翌々日11:35)、下関(11:35)-新橋(翌々日7:46)の時刻で設定された。その前年明治38年には釜山−京城間が開通し、関釜連絡船（壱岐丸、対馬丸）が運行を開始している。明治40年には各等急行列車(5・6列車)が設定され、明治45年には、これに加えて、1・2等特別急行第1・2列車が設定され、それらの時刻は、新橋(8:30(1)/15:50(5))-下関(翌日9:38/20:24)、下関(19:10(2)/9:50(6))-新橋(翌日20:25/13:30)、下関発着が朝夜の2本立てとなった。これに連絡する関釜連絡船は所要11時間朝夜2便で、釜山からは前年に開通した鴨緑江鉄橋を渡る、安東行き急行1列車が夜、京城西大門行き普通5列車が朝出発していた。大正4年に東京駅が開業、大正8年には急行5・6列車が1・2等急行となり、続行運転の3等急行3・4列車が設定された。大正10年には、新逢坂山トンネルの開通、大正12年には3等特急3・4列車が設定され、下関急行は1・2等の7・8列車、3等の5・6列車となった。東京(8:45(3)/9:30(1)/20:25(5)/20:40(7))-下関(8:05/9:38/21:38/22:00)、下関(9:45(8)/10:10(6)/20:45(2)/21:05(4))-東京(11:40/12:05/19:35/20:40)、この年、木造最後の展望車オイテ27000が特急1・2列車に投入された。関釜連絡船では、景福丸型３隻が就航し所要時間は昼８時間、夜９時間となった。釜山発着では夜便に連絡する１列車奉天行き、昼便に連絡する７列車急行奉天行きがあった。
昭和4年には特急1・2・3・4列車に愛称がつけられ、それぞれ1・2等特急｢富士」、3等特急「さくら」となった。昭和5年には東海道特急の｢つばめ」が誕生し、停車駅の削減で大幅なスピードアップが達成されたが、下関行きも同様であった。又車輌面では鋼製展望車で内装が洋風の白木屋式のスイテ37000（マイテ38)3両が3月に、和風の桃山式のスイテ37010(マイテ39)2両が12月に完成し、木造のオイテ27000は各等急行7列車の京都−下関間に連結されるようになった。また、スイテ37000のうち1両は、昭和6年、｢つばめ」用の展望車とするためにスイテ37002がスイテ37030に改造され、更にスイテ37020形2両が落成した。昭和9年には、丹那トンネルと岩徳線全通による山陽線への編入により、スピードアップが行われた。下関ゆき列車は続行運転をやめ、「さくら」を2・3等に｢富士」を各等に変更して九州内の連絡列車も変更され、「さくら」が鹿児島行き急行3列車と宮崎方面急行203列車に連絡し、｢富士」が長崎行急行101列車に連絡するようになった。釜山からは１列車急行「ひかり」が新京まで伸び、７列車奉天行き急行が「のぞみ」と命名された。昭和１２年には、関釜連絡船では金剛丸型が夜行便に就航して所要時間は7.5時間なり、内地では「つばめ」の姉妹列車として｢かもめ」が誕生し、オイテ27000を鋼体化改造したスイテ37050(マイテ58)形2両が充当されることとなり、昭和13年、スイテ37040(マイテ49)形2両が「富士」に投入され、旧型のスイテ37000(スイテ38)形2両が、各等急行7・8列車に充当され、捻出されたオイテ27000が改造にされるに至った。
かもめ」に展望車が連結された昭和14年、盧溝橋事件の2年後北京の偽「華北臨時政府」のもと｢華北交通株式会社」が結成され、釜山からの北京行き直通急行「大陸」と「興亜」が誕生している。ますます需要の増える大陸との連絡のために、東京−下関間の特急急行は昭和16年までに定期列車8往復になった。昭和17年には関門トンネルが開通し、｢富士」は長崎発着になり、「さくら」は格下げされ2・3等急行7列車鹿児島行きになった。名門急行の従来の7列車は新3列車として各等急行鹿児島行きとなったが、これに連絡する釜山からの急行「のぞみ」は以前のまま7列車であった。長崎で上海行きに連絡したのは名門急行の3列車から連絡の35列車と301列車長崎港行きで、上海からの便には「富士」が連絡した。昭和18年には特急「富士」は博多打ち切り、名門急行は下関泊まりとなり、釜山への夜行便と長崎への夜行列車に連絡した。
