香港は英国領地中の最東部であり、欧亜通商航路の一大中心点として発展し、中国各地沿岸、アジア各地、日本との汽船のみならず、ヨーロッパ、アメリカへの航路が開かれていた。
外洋航路の汽船の発着点は、香港島北面の干諾道(Connaught Road)に面した各船会社の埠頭に横付けされるものと、海岸付近に投錨地に停泊するものとがあった。
昭和18年発行の「南方圏の交通 / 渡辺源一郎著」によれば、香港島側には12本の固定桟橋、九龍側に5本の固定桟橋が構築され、港内にはが106個の繋船浮標が設置されていた。九龍側の香港九龍埠頭倉庫会社の大型船舶繋船用埠頭では、鉄道引き込み線も完備していた。香港島側は各船会社専用の埠頭になっており、一般的には小型の艀などが発着することが多かったようである。
香港を発着しいた主な外洋航路
極東‐北米線
日本郵船、米国プレジデント汽船、カナダ太平洋汽船
(香港‐日本‐カリフォルニア、バンクーバー)
極東‐欧州線
日本郵船、P&O汽船、M&M汽船、北ドイツロイド汽船
(ロンドン・ブレーマーハーフェン・マルセーユ‐香港‐日本)
極東‐豪州線
日本郵船 (日本‐香港‐シドニー・メルボルン)
極東‐インド線
日本郵船(日本‐香港‐ボンベイ・カルカッタ