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南川の次は物開駅、此処は著名な蛍石の産地、蛍石は硝子原料・製鉄培熔剤などに利用される。又此の辺りの山野は雉子猟の本場で京城・仁川辺りの猟天狗の遠征が多い。物開と次駅新幕の間には、文禄の役の史蹟安城里の小部落、或いは車踰峰隧道がある。
 新幕・瑞興の二駅を経て山岳連亘、寂寥な地域に入り、黒煙を吐きながら楼洞・泛雁・興水院等のトンネルを出入りし、駅間距離の頗る離れた興水駅に入る。此の駅付近に出て地勢暫く緩濶、興水川流域に小部落が展がる。木炭・焼酎・朝鮮甕などの特産もある。
 列車は進んで次第に眺望開け清渓・馬洞付近に到ると、左右に製糖原料の甜菜畑が続き、次いで左窓に丘陵の起伏する新鳳山駅に着く。ここは載寧江岸沿いの炭砿地で、駅に近く明治砿業沙里院炭砿及び、朝鮮合同炭砿の露天掘採炭稼行が盛んである。
 新鳳山を過ぎて茫漠と一望涯しもない載寧平野に出る。車窓の左右は暫く果樹園となり、やがて沙里院駅に着く。左に分かれていく一線は黄海線、その沿線は朝鮮の宝庫と称される載寧大平野を駛走し、黄海百萬石の名があり、又信川・安岳其他の温泉郷を始め、名勝長寿山、夢金浦海水浴場等の遊覧地も多く、経済上にも、名所探訪にも、甚だ恵まれた好路線である。
 沙里院を出て五方山城址を右に沈村駅を通れば、内地青森林檎にも劣らぬその特産地黄海黄州駅に着く。兼二浦支線の分岐点である。兼二浦には朝鮮屈指の大工場「日本製鉄会社兼二浦製鉄所」が置かれ、銑鉄年産二十五萬瓲、及び其他幾多の副産物を生産している。
 黄海黄州駅を出でて列車は市雄北進、次の黒橋駅付近は、やはり林檎と朝鮮釜の産地。次いで黄海道と平安南道の境界中和隧道を抜け丘陵の間を経て、広い甜菜畑の中に力浦駅を過ぎ、やがて大同江東岸の小駅大同江に着く。駅前には日本穀産工業の大工場があり、付近一帯船橋里辺は工業地帯として活気漲る処、それに有名な平壌無煙炭の埋蔵地で、此駅から採炭支線が分かれていく。列車は大同江駅をでて対岸の市街を望み乍ら羊角島の中に第一・第二の二鉄橋を渡り、洋々と広い大同江を横断して西鮮の中心都市平壌停車場に着く。
 京城から260粁余、急行「のぞみ号」なら四時間半、釜山からは凡そ711粁、十二時間余の工程である。
京城駅を出でて京義線は一路北に向かい、程なく隧道を抜ければ、京城郊外の好散策地新村駅の松原が続く。ここは旧京義線を利用した龍山支線の接続点で、その線は京城西北部郊外の一循環線を成し漢江水運に依る木材・米・或いは水産物の集散が多く、多幸な将来を予期されている。
 新村の次は水色、駅名の通り左窓は広い水田を隔てて漢江の水色が望まれ白帆の往来悠々としている。此の辺りは米の外に薄荷油の産出が多い。
 右窓の峯は高峰山、列車は一望広々とした水田の間を走り、冬なら雁鴨の飛来頗る多い沼田となる処、陵谷・一山・金村等の諸駅を通る。
此の付近は、文禄役の戦績地が多く、また金村駅の東南方には李王家の御墓所がある。
次のMUN山駅は臨津江の要津で、物資集散市場として賑わい、駅前の乗合バスは、積城或いは高浪浦方面へ向かう。名物には鳳楼山の硯石がある。MUN山を出ると程なく一隧道を抜け、続いて臨津江の長橋を渡って、大豆の集散地長端を経、旧高麗朝の王都開城駅に着く。
 駅前の丘阜は桃と桜の多い鉄道公園。町はその南方に展開し、王宮址その他一日の古蹟巡りに良く、それに有名な不老長寿の霊薬「朝鮮人参」の本場として名高い処、此処の総督府の専売局人参製造工場は参観の便があり、斯業の概要を知るに大いに役立つ。開城の出て車窓からみる山腹の傾斜畑に列を作って並ぶ日覆いの畑は、即ち人参栽培地である。間もなく又隧道があり、次いで朝鉄黄海線の分岐点土城駅を過ぎる。黄海線は黄海道の中心都邑海州へ向かう狭軌線で、土城近くには鶴の名所白川温泉があり、行楽向きの好一泊地である。土城を出て礼成江上流の山間線を走る。蠣KEN・鶏井・金郊の諸駅を後に、影水屏の勝峡を経、礼成江本流の鉄橋を渡って汗浦駅に入る。この辺り各駅の間に短小な隧道が数箇所、車窓から帝釈、大屯の植林を仰いで行く。主要の産物は金郊あたりを中心に大豆、それに山間奥地から搬出の木炭などである。 汗浦から猶ほ暫く線路は山間を繞り、やがて平地に出て南川駅を過ぎる。此処から平山温泉行の自動車が出るが、聊か遠隔に過ぎて、旅塵を払う一浴として稍不便、設備も黄海線の白川より幾分劣るようである。
東亜鉄道案内 日本名所図絵社 昭和戦中
欧亜連絡
朝鮮鉄道略図
京釡・京義・安奉経由
京義線  旅窓に学ぶ ダイヤモンド社 昭和13年 より

1. 京城―平壌間
2. 平壌―新義州間 
2. 平壌―新義州間 
旅窓に学ぶ
ダイヤモンド社(東京麹町)
昭和13年8月3日発行

京釡線のページから引用

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